全国初の「メタバース区役所」江戸川区が開設へ　一部手続きも仮想空間で完結　区長「究極のバリアフリー」

　メタバースと呼ばれるインターネット上の仮想空間に区役所を設け、窓口での相談や申請手続きも可能にする全国初の取り組み「メタバース区役所」を東京都江戸川区が始める。自宅でパソコンなどを使い、仮想空間の区役所を訪れて一部の手続きをすることもでき、区は「来庁したくてもできない人に機会を提供したい」としている。実証実験の結果を踏まえて一般が利用できる時期を決定する。
◆パソコンなどで「実物そっくりの区役所」訪問
　13日の記者会見で公開されたデモ動画では、アバター（分身）が実物そっくりの区役所前に現れ、玄関の自動ドアを通って総合案内へ。「どのようなご用件ですか」と音声で応対する職員に、マイクを通じて声で用件を伝えた。紹介された担当課まで進み、チャットで会話をして目的の申請手続きを終えた。ロールプレーイングゲームの主人公のようなイメージだ。
◆障害者福祉課で実証実験を始め、5年後をめどに全ての課に
　区は20日から障害者福祉課で実証実験し、5年後をめどに全ての課に広げていく考え。ただ、障害者手帳の交付申請のように、書類原本のやりとりを法律で定めているケースもあり、全ての手続きをメタバース上で完結させるには法規制などの課題もある。
　斉藤猛たけし区長は「自宅から相談や申請手続きができることが究極のバリアフリーになる。障害のある人や寝たきりの人、ひきこもり状態にある人など誰もが同じ質のサービスを受けられるようにしたい」と話した。（加藤健太）

東京新聞　2023年9月14日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/277170